マルディンから帝都へ
鉱山町マルディンを発ち、自治都市帯を抜けて
ヴェイル帝国の首都へ至る南街道の旅程
帝都まで 約155レグア ── 出発地
煤と硫黄の匂いが染みついた鉱山町。精錬所の煙突が朝から黒煙を吐き、鍛冶屋通りにはハンマーの音が絶えない。地脈虫討伐を終えた二人は、"岩喰い"バーヴェラに見送られて南街道の乗合馬車に乗り込んだ。
マルディンから半日 ── 南街道沿い
修道服の老女と若い母親がここで降りた。冬枯れの畑に囲まれた質素な宿場。赤ん坊の泣き声が消えた荷台はがらんとして、代わりに測量士と薬売りが乗り込んだ。
帝都まで 112レグア ── フォルカまで 18レグア
宿が一軒と井戸がひとつあるばかりの集落。街道の分岐点に帝国式の里程標が立ち、鷲の紋章と四方への距離が刻まれている。測量士ルッツはここで降りた。「帝都に着いたら南大門の里程標を見てくれよ」と言い残して。
帝都まで 104レグア ── 二泊目
街道を跨ぐ石の門が迎える宿場町。門柱には帝国の鷲の紋章。フェルディス太鼓判の黒パンが南街道で一番うまいという。沈む陽の残光が畑の上に橙色の帯を引き、小さな窓から二人は夕景を眺めた。
フォルカの手前 ── 薬湯の温泉場
薬売りの老人が教えてくれた温泉場。山間に湧く薬湯で旅の疲れを落とせる。「年寄りの唯一の財産は道の記憶だからね」──急がぬ旅なら立ち寄る価値がある。
帝都まで 約94レグア ── ミルノ川の渡し場
ミルノ川の渡し場がある南街道最大の中継地。ここの両替屋が最も率がいい。川を越えると帝国の舗装街道に入り、道の質が一変する。
| 通貨換算の手引き | ||
|---|---|---|
| 王国銀貨 10枚 | → | ロート銀貨 約9枚(フォルカ相場) |
| 通行税(馬車) | ロート銀貨 3枚 | |
| 通行税(徒歩) | ロート銀貨 1枚 | |
| 宿代(一泊) | ロート銀貨 1〜2枚(街道沿い相場) | |
南大門 ── すべての距離の起点
門だけで首が痛くなるほど巨大な都。皇立学院には王国の十倍の蔵書が眠り、万粒論の原典がどこかの書架に隠れているかもしれない。南大門の里程標が帝国すべての距離の起点。二人の新しい生活はここから始まる。